これが現象学だ!
- 作者: 谷徹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/11/15
- メディア: 新書
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超越論的自我とかノエマといった、哲学用語が飛びかいます。それでも、これまで読んだ入門書の中では一番解りやすかったです。(どれほどの理解ができたのかは別として)。私が一番関心を持ったのは、私とあなたの問題。経験の原初において、「(後に自己意識を形作る)身体ヒューレと(他者となる)身体ヒューレが、原身体としてして癒合しあう。」という一節が、私とは異なる他者の存在を構成することの説明だと思うのですが、まだよくわかりません。
道徳的にいえば、フッサールの「二つあるいはそれ以上の現実世界について語るのはばかげています。まさに他の心といったものが現象的に存在するための諸条件は、すべての心が、<一つの同一な形式存在論的な世界構造をもった一つの同一な世界>を持つことを保証するために十分なものなのです。」という引用文が、気に入っている。ただし、この文章私にはまともな文章ではないように思えます。
もう一つなるほどと思ったのは、「現在」についてのとらえ方。瞬時に消え去る原印象を現在ととらえるのではなく、「把持」と「予持」を含む幅のある現在。これは、納得した。もちろん、現象学の発想そのものに強く惹かれた。確かなのは、この経験であるということ。そこまで、現象学的還元をして、再度、世界を構築しようとすること。
哲学的な訓練をしていない私です。その出発点にはなったのかなと思います。